水谷晃毅
今回はリアルミー初の男性インタビューです。ビジネス戦略コンサルタントとして働き、現在はご家庭で奥さんをサポートし、子育てをするために育児休暇中の水谷晃毅さんにお話を伺いました。男性が育児休暇を取ることが社会的にまだ一般に受け入れられていない日本で、育児休暇を取る決断をした理由や、男性の視点から見た男女平等に関する考え、息子さんをどのように育てていきたいかなどについて話して頂きました。

リアルミー、本当の自分とは?

水谷晃毅です。現在は神奈川県に住んでいます。スポーツをしたり旅行にいったり、友人と美味しいものを食べたり飲んだりするのが好きです。
最近ではBBQにハマっていて、週末にはよく家に友人たちを招いて一緒に楽しんでいます。

アクセンチュアでビジネス戦略コンサルタントとして働いていらっしゃいますが、仕事について教えて下さい。

大学卒業後すぐにアクセンチュアで働き始め、丸4年が経ちました。私の仕事は主に消費財業界のクライアント企業に対し、彼らのビジネスの拡大・変革を支援することです。
アクセンチュアでは国内外ともに様々な案件に携わってきました。もちろん簡単な仕事ではなく、ときには辛い時期もありました(一度ではなく何度も)。ですが今のところ、たくさんのチャレンジに溢れたこの仕事が好きで、楽しみながら働けています。


現在、息子さんの育児に専念する為に育児休暇中でいらっしゃいますが、育児休暇を取ろうと思ったきっかけは何ですか?

母親が保育士をやっている影響もあってか、もともと私自身子供が好きで、学生の頃から「将来は育休を取りたい」とぼんやり考えていました。就職活動の際にも、面接官から最後に何か質問はあるか問われると、「この会社では男性でも育休が取れますか?」と聞いたりしていました。結局、その質問に対して「男性でも取れます」とはっきり答えてくれた唯一の会社がアクセンチュアで、入社することに決めました。(言うまでもなくこの仕事を選んだ理由や動機は他にもたくさんありますが、育休というポイントも決め手のひとつでした。)

水谷晃毅

日本では、男性が育児休暇を取ることは屈辱的(Stigma)という考えが未だにあると感じますか?

Stigmaというよりは、ある種のステレオタイプだと思います。残念ながら、特に歴史のある日系企業だと「育児や家事は妻に任せて男は働くべき」といった考え方や風潮も依然としてあり、「育休を取りたくても取れない」という話を友人(若手の男性社員)たちからもよく聞きます。
ありがたいことに、私の会社の上司や同僚はみなオープンマインドな方ばかりだったので、理解を得ることができました。また、コンサルティングという職種柄、プロジェクト単位で毎回新しくチームを組みますし、人の入れ替えも頻繁に起こります。プロジェクトの合間に長めの休暇を取ることも珍しくありません。そうしたワークスタイルも、育休を取りやすかった大きな理由のひとつだと思います。
とはいえ実際は、本当に長期間の育休を取るのかとても悩みました。一般的に外資系のコンサルティング業界は「実力主義」のシビアな仕事です。長期間の休職後に自分自身のスキルやいままで築いてきた信頼を維持できるのか、やはり心配でした。正直に言って、そういう意味では今でも少し不安はあります。

育児以外に、料理や掃除などの家事を手伝ったりしますか?

基本的にすべて協力してやっていましたが、現在は主に毎日の食事の準備を私がやっています。長い間一人暮らしをしていたので、料理は得意なほうだと思います。反対に、掃除や洗濯は主に妻の担当です。妻が僕の作業品質に満足できず、早い段階で戦力外通告を言い渡されてしまい(笑)。それ以来、家事はお互いに得意分野を担当することにしています。…

今までの人生で、一番誇らしかった瞬間、もしくは感動的だった瞬間はいつですか?

21歳のとき、ギリシャ人の親友のもとを訪ねて、二人で一ヶ月ほどかけてギリシャ中を旅したことがあります。様々な話をしながら、車とフェリーで島から島へと巡りました。目を見張るような風景や歴史、美味しい食事ももちろんでしたが、人生のメンターとも呼べる友人と語り合えたことが私にとって素晴らしい時間でしたし、多様な価値観や考え方を学びました。

水谷晃毅
今までの人生で一番大変だった、もしくは絶望した瞬間はいつですか?また、その状況をどのようにして乗り越えましたか?

私は8歳の頃から空手をやっており、中学校から大学までずっと空手部に所属し、毎日厳しく練習していました。しかしギリシャ行きを決めるにあたって、選手を引退し大学の部活も退部することにしました。10年以上続けてきた空手を離れるという決断は、自分にとって本当に難しく辛いものでしたし、たくさんの人たちの期待も裏切ってしまいました。
当時すぐには乗り越えられませんでしたが、なんとか気持ちを切り替えて、「この決断を後悔しないように色々なことに挑戦し努力しよう」と思うようにしました。多くの人を失望させてしまったこの経験が、いまでも人生の原動力になっています。

パートナーである奥様について教えて頂けますか?出会いは?そして、ご自身にとって、よい結婚の定義とは何でしょうか?

妻とは大学四年生の時に出会いました。私の友達のひとりが、彼女の写真を見せメールアドレスも教えてくれ、「二人は良いカップルになると思うよ」と言ってくれました。何週間かメールした後、はじめて会い一緒にランチをしました。それも友人は同席せず、最初から二人きりで。それからしばらくして私たちは付き合いはじめ、3年間の交際を経て結婚しました。
良い結婚の定義は、ちょっと難しいですが私たち夫婦の場合は「お互いに良い距離感を保つこと」だと思います。結婚後もそれぞれの時間や交友関係を大切にできるようにしています。…

日本には男女不平等が存在すると思いますか?

残念ながら、あると思います。日本では結婚して子供が生まれると、女性のほうが仕事を辞めたり、少なくとも仕事量をセーブしたりして平日の家事・育児を担うということがよく見られます。夫婦両方がハッピーであればそれでも良いと思うのですが男性側だけが「仕事をセーブするなんて無理だ」と主張することができ、逆に女性側は仕事の調整や退職を強いられるというのは、制度的にも文化的にもおかしいかなと感じますし、男性側ももう少し痛みを共有する必要があると思います。

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水谷晃毅
女性自身が、男女不平等を改善するためにできることは何かあると思いますか?

個人的な意見ですが、「完璧主義にならないで」と頼みたいですね。「どうせ夫に任せても何もできない」「自分でやったほうが早いし上手い」といった考えが、男性の家事・育児離れ&仕事一辺倒の意識を加速させてしまう気がします。
もちろん、私も含め男性側が率先して努力することは必要ですが。苦手なことほど、上達するには少し時間がかかるものなので。…

ご自身の息子さんには、どのような人間になってほしいですか(特に、女性に対しての姿勢に関して)?また、父親として、それをどのように手伝っていきますか?

息子の「女性に対しての姿勢」はこれまで考えたことがなかったのですが(笑)現時点で思うのは、優しいのはもちろん、決断力を持った頼られる男性になってほしいです。…
父親としては、できる限り息子自身が自分で物事を考えて決められるようにしてあげたいので、彼が決断する上で必要な情報、たとえば目の前の何かを一生懸命やったとき/やらなかったときに、その先にどんな可能性やリスクが待ち受けているのか、といったことを丁寧に伝えてあげたいなと思います。

リアルミーでは、勇気づけられる引用や名言でインタビューを締めくくっています。読者の皆さんに伝えたい人生の座右の銘はありますか?

日本人はよく「仕事のあとのビールはうまい」と言います。それをギリシャ人の友人たちに教えてあげたら、彼らはこう言いました。「そんなことをしなくてもビールはうまい」と。
努力を積み重ねた先にある達成感と、何気ない日常の中にある幸せ。両方の意識を大切にしながら、毎日を送りたいと思っています。

日本の若い男性に、男女平等に関して伝えたいことはありますか?

男女平等や夫婦のあり方に関しては、正解は一つではないと思います。一方の考え方を相手に押し付けるのではなく、夫婦二人が「平等だね」と感じる関係性をつくることが、何よりも大切なのではないでしょうか。
そういう意味で、育休は育児・家事を協働しながら夫婦で話し合う時間を持てる、とてもいい機会です。実際に取る上での難しさは色々ありますが、日本の若い男性が育休をより前向きに考えてくれることを願っています。

水谷晃毅